2025.12.23

【開催レポートvol.3】「実は昼間より健康的?」「給与は?」夜間救急の現役獣医師が語る“ここだけの本音”座談会

2025年11月30日、つなぐワークと熊谷夜間救急動物病院の共同主催(後援:一般社団法人 日本獣医救急集中治療学会)による「夜間動物病院合同説明会」が開催されました 。 イベントの目玉企画として行われたのが、夜間救急の最前線で働く現役獣医師4名によるトークセッション。

「夜間救急の現場で働く獣医師・動物看護師は、なぜ夜間を選んだのか?」 「ぶっちゃけ、稼げるの?」 「一生続けられる仕事なの?」

そんな求職者が聞きづらい疑問に対し、忖度なしの「リアルな本音」が飛び交いました。今回はその座談会の様子をダイジェストでお届けします。


■登壇者プロフィール

夜間救急の第一線で活躍する4名の先生方が登壇しました。

  • 松本 禎基:熊谷夜間救急動物病院
  • 塗木 貴臣:TRVA動物医療センター
  • 唐津 健輔:つくば夜間動物病院 / 水戸夜間動物救急センター
  • 杉浦 洋明:横浜動物救急診療センター(VECCS YOKOHAMA)

【ファシリテーター】

落合 幸介:熊谷夜間救急動物病院

【テーマ】

なぜ私たちは夜間救急を選んだのか 〜現場が語るリアル〜


1. なぜ「夜間救急」を選んだのか? きっかけは“後悔”と“衝撃”

そもそも、なぜ彼らはハードルが高そうに見える「夜間救急」の世界に飛び込んだのでしょうか。

杉浦先生が挙げた理由は、一次診療時代の**「後悔」**でした。

「一次診療時代、具合の悪い子が来た時に初期対応がしっかりできず、亡くなってしまった子がいました。もっと救急をしっかり学びたいと痛感したのがきっかけです。救急をやりたかったら、その主戦場はやはり夜間しかありません」

一方、唐津先生は**「意識の変化」**が大きな転機になったと語ります。

「以前勤めていた病院では、心肺蘇生をしても『どうせ助からないだろう』という雰囲気がありました。しかし、あるセミナーで『ちゃんとやれば助かる』という話を聞き、衝撃を受けたんです。それが自分の勤めている病院で行われていないことに疑問を感じ、夜間救急への転身を決めました」

「外科手術を執刀したい」「一次診療では得られない経験を積みたい」など、動機は様々ですが、共通しているのは**「目の前の命に対してもっとできることがあるはずだ」という熱い思い**でした。


2. 「スキルがないと無理」は誤解? 現場が求めているのは“技術”より“〇〇”

「夜間救急=高いスキルを持った即戦力しか採用されない」と思われがちですが、登壇者たちの見解は少し異なります。

特に話題に上がったのは、**「入職時に高度な知識や技術は必ずしも必要ない」**という点です。

「入ってから覚えることの方が圧倒的に多いです。極論を言えば、入職時の知識や技術はどうでもいい。それよりも、スタッフとコミュニケーションが取れるか、素直に話を聞けるかといった『人間力』や『社会人力』の方が重要です」

また、一次診療での経験(1〜2年程度)を求める病院が多い理由についても、技術面というよりは**「ホームドクターとの連携や飼い主様対応の基礎ができているか」**という社会人としてのマナーや流れの理解を重視しているためだと語られました。

未経験であっても、「チーム医療」の中で成長できる環境があることが強調されました。


3. 正直気になる「お金」と「時間」の話。給与は…!?

会場が最もどよめいたのが、給与と待遇に関する「ぶっちゃけトーク」です。 **「夜間救急は稼げるのか?」**という直球の質問に対し、先生方は口を揃えて肯定的でした。

「効率よく稼ぐなら、という考え方は決して間違っていないと思います」 「キャリアの長い動物看護師さんだと、その辺の街の獣医師より貰っているんじゃないかな(笑)」

実際に、夜間救急は拘束時間が比較的短く(8〜9時間程度)、週休3日制を取り入れている病院も多いため、**「時給換算や休日数で見ると、待遇はかなり良い」**というのが実情のようです。

「一次診療時代は『仕事に行って帰って寝るだけ』の日々でしたが、夜間になってからは自分の時間が取れるようになり、むしろ健康的になりました」

「夜勤=不健康」というイメージとは裏腹に、オンオフの切り替えが明確で、プライベートも充実させやすい働き方であることが明らかになりました。


4. 「40代以降も働ける?」キャリアの持続可能性

最後に議論されたのは、**「体力的に何歳まで続けられるのか」**という将来への不安です。

これに対しては、「40代前半までは駆け抜ける」「今は昼間より元気」という力強い意見がある一方で、各病院が**「長く働ける環境づくり」**に取り組んでいることも紹介されました。

  • 日勤への移行: 24時間診療の病院では、ライフステージに合わせて日勤へ移る。
  • パート勤務: 正社員にこだわらず、働ける時間だけ働く。

「一生夜勤を続けなければならない」わけではなく、組織として多様な働き方を受け入れる体制へと変化しつつある現状が語られました。


まとめ:夜間救急は「稼げて、休めて、成長できる」選択肢へ

今回の座談会を通して見えてきたのは、夜間救急の意外な側面でした。

  1. 動機は「後悔」や「成長意欲」から始まることが多い。
  2. 入職時に完璧なスキルは不要。「人間力」が重視される。
  3. 給与水準は高く、休みも多い(ワークライフバランスが取りやすい)。
  4. ライフステージに合わせた働き方の整備が進んでいる。

かつての「過酷で厳しい」だけのイメージから、**「プロフェッショナルとして働きながら、私生活も大切にできる場所」**へと進化している夜間救急動物病院。

「自分にはまだ早いかも…」と迷っている方も、まずは説明会でそのリアルな空気に触れてみてはいかがでしょうか?


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