【院長先生に聞いてみた】黒木 慎介先生 おおたかの森動物病院(千葉県流山市)院長

【院長先生に聞いてみた】黒木 慎介先生 おおたかの森動物病院(千葉県流山市)院長

学年最下位からの獣医学部合格

高校生の時は時間と体力の全てをバスケットボールに費やしており、その影響で成績はズタボロ。学年最下位を取ったこともあります。高校3年のときの獣医学部の模試は常にE判定。現役では合格できず、当時の担任の先生には一浪しても獣医学部は無理だろうと言われていましたが、猛勉強の末に一浪して宮崎大学の獣医学部に進学することができました。新卒で入社した梅島動物病院(東京都足立区)は、腕を磨いて独立したい考えの獣医師が集まっていたため、開業のために先輩が毎年のように卒業していく文化がありました。私も元々開業志望でしたので、そういった先輩方を見て、そろそろ自分のタイミングかなと思うようになり、7年半勤め、独立開業しました。

当初は考えてもみなかった千葉県流山市での土地探し

妻の実家が今のおおたかの森動物病院がある千葉県流山市にあり、開業するならこのあたりがいいと考えていました。この地域は今でこそ人口増加数が日本一(2021年)で、メディアにも頻繁に取り上げられるほど特にファミリー層に人気のエリアとなりましたが、私が開業した当時はキジやフクロウを見かけるほど自然溢れる地域でした。ただ、土地探しを始めた時からこの地域は大規模開発が行われることが決まっていたことに加え、開業前にこの地に引っ越してこのエリアの魅力を実体験を通して理解していましたので、開業するならこの地域というのは譲れないポイントでした。

開業コンサルタントが匙を投げた場所での開業

開業にあたり開業コンサルタントに土地の選定などの相談を行っていたのですが、当時はこの地域は栄えていなかったため、そのコンサルタントからは大反対を受けました。最後には「どうなっても知り
ませんよ」とまで言われてしまったのですが、この地域で開業することを心に決めていたので、土地探しを続け、今の場所で開業しました。今は当院の周りにも集合住宅や一軒家が立ち並んでいますが、当時はこの場所は樹木が生い茂っていました。開業して1、2年は集客面で苦労しましたが、前職の院長からは「開業して3年は絶対に辛いから」とアドバイス頂いていたこともあり、今こそ耐えどきだ、という信念を持って過ごしていました。3年目からは少しずつ忙しくなり、今では勤務医と一緒に診察を行えるほど患者さんの数が増えてきました。この地で開業することへの不安がなかったのは、私がこの地域が好きで、また、将来的に発展していく姿が想像できていたからだと思います。動物病院で働くということは、その地で年を重ねることを意味しますので、特に開業の方は土地選びは絶対に妥協してはいけないポイントだと思います。私は地元が佐賀、大学が宮崎ということもあり、人が多い場所は少し苦手です。この地域は人が多すぎず、美味しい居酒屋もあり、なおかつ東京へも電車一本で行けるので、適度に田舎なのに生活が便利なところが気に入っています。

院長となり、精神的に強くなれた

今に至るまで割と順調に成長できてきたようにお話しましたが、実は開業2年目にストレスが原因で帯状疱疹を経験しました。当時は月曜日から頭が痛くなり始めて、火曜日に相当の痛みを感じながらなんとか診療を終え、水曜日の休診日にお薬を飲んで休んで回復し、木曜日に若干の頭痛を抱えながら診療を行い、という生活を続けていました。元々勤めていた病院が規模の大きなところで、働き方のギャップを頭では理解していましたが、心と体がはじめのうちは追いついていなかったように思います。入院の子を徹夜で見て次の日そのまま診療という日もありましたが、診察をやって動物がよくなっていく姿に救われていましたね。勤務医として働いていた時は、院長が器の大きい方でしたので最終的には院長がなんとかしてくれるという思いがありましたが、開業した今は全ての責任は自分が負います。2012年に開業したので今年で11年目となりますが、精神的に強くなれたと思います。病院を運営する中で、良い時もあればうまくいかない時もありますから、大切なのは、反省すべきところは反省して、次に繋げること。驕らず謙虚に、そして努力は怠らない。言葉にすると地味ですが、そういう基本的なことが一番大事なんだと感じています。

PROFILE

宮崎大学卒業。梅島動物病院にて7年半勤務後、おおたかの森動物病院を開院。外科に強いジェネラリストが目標。家では猫4匹と犬1匹と生活。地域のメンバーでバスケットボールチームを作り、時間が合う時は練習に参加している。バスケ、サーフィン、ゴルフ、ショッピングが趣味。

# タグでつながる

# シェアする