愛玩動物看護師が国家資格化されてどう変わった?|働き方や立場の変化について解説
近年、ペットは家族の一員という考えが一般的になり、求められる医療も著しく多様化、高度化が進んでいます。
そこで、動物看護師にもより高度な知識や技術を獣医療現場で発揮してもらうため、令和元年6月に制定された愛玩動物看護師法により、新たな国家資格「愛玩動物看護師」が誕生しました。
今回の記事では、愛玩動物看護師が国家資格化されたことで、働き方がどう変わったかについて解説していきます。
愛玩動物看護師が国家資格化される以前
愛玩動物看護師が国家資格化される前は動物看護師は学歴や資格がなくても誰でも名乗ることができる職業でした。
中でも動物看護師の専門学校や大学を卒業した人や動物看護師の民間資格を取得している人が就活では有利になったり、獣医療現場で優遇されることが多かったです。
当時の動物看護師の業務内容は
- 診察や治療の補助
例:動物の保定、薬剤の準備、検査など - 入院動物の管理や世話
- 飼い主様への説明、アドバイス
- 飼い主様とのコミュニケーション
- 受付
- 清掃
などが挙げられます。
採血や注射などの獣医療行為は獣医師の独占業務として、行うことができませんでした。
愛玩動物看護師が国家資格化されて
愛玩動物看護師が国家資格化されて大きく変わったことは以下のことです。
・国家資格を取得していない人は、愛玩動物看護師またはそれに紛らわしい名前を名乗れなくなった。
・診療の補助が愛玩動物看護師の資格を有するものの独占業務になった。(獣医師を除く)
・今まで獣医師が行なっていた獣医療行為の一部が、獣医師の指示の下で行うことを認められた。
それぞれについて解説していきます。
愛玩動物看護師の名前
国家資格を取得していない人は、愛玩動物看護師またはこれと紛らわしい名前を使用してはいけないと、法律で制限されるようになりました。
これに伴い全国の動物病院では、無資格者で診療業務以外の仕事をし、今まで動物看護師と名乗っていた人たちの職種名を変更することとなりました。
現在では「アニマルケアスタッフ」「動物ケアスタッフ」などの職種名が用いられていることが多いです。
愛玩動物看護師の独占業務
診療の補助が愛玩動物看護師の独占業務になったことにより、国家資格を取得していない人が診療の補助にあたることができなくなりました。
これにより診療の補助にあたるスタッフを採用する際に愛玩動物看護師の資格を持っていることが重要な条件になりました。
現在では動物病院の求人情報に「愛玩動物看護師の有資格者であること」と書かれることが増えました。
動物診療行為の一部が獣医師の指示の下で行うことを認められた
愛玩動物看護師の新たに認められた動物診療行為は
・採血
・投薬
・マイクロチップ挿入
・カテーテルによる採尿
・カテーテル留置
などです。
これにより愛玩動物看護師が新たに身に着けるべき技術が増え、仕事へのやりがいが生まれました。
愛玩動物看護師の業務範囲が広がったことで、獣医師の教育への意識も高まり、チーム医療の質が向上し始めています。
愛玩動物看護師になると収入はどう変わる?
愛玩動物看護師が国家資格化されたことにより、有資格者と無資格者の間にできる業務の違いが生まれ、給与に差をつける動物病院が増え始めています。
また、規模の大きい動物病院では看護師長などの役職がつくことがありますが、一般的には有資格者が役職につくことが多いため、資格を取ることがキャリアアップにも繋がるようになりました。
今まで経験年数で判断することが多かった給与に、新たな基準が生まれることとなりました。
まとめ
新たに愛玩動物看護師という国家資格が生まれ、日々の診察でも活躍の場が広がりました。
その分、必要となる知識や技能が増え、時には重い責任も発生しますが、やりがいや動物たちとの関わりも増えることが期待できます。
今後医療技術の向上とともに、ますます愛玩動物看護師の役割は大きくなっていくでしょう。