獣医師が開業するまでに辿るべきキャリア|失敗しないキャリアプラン

獣医師が開業するまでに辿るべきキャリア|失敗しないキャリアプラン

「開業するにはどんなスキルを身につけるべきかわからない」

「開業して成功できるか不安だ」

「いつ開業するのがベストかわからない」

こんな悩みを抱えていないでしょうか?
今回は将来開業を考えている小動物臨床の獣医師に向けて、

  • 動物病院業界の現状
  • 開業時に必要なスキル
  • 開業までのキャリアプラン
     

について解説していきます。

ぜひ最後までお読みいただき、開業にお役立ていただけると幸いです。

動物病院を開業すれば成功する時代は終わった


かつての獣医師の王道のキャリアプランは動物病院を開業することだとされてきました。

しかし、今では生涯通して勤務医を続ける人やフリーランスの獣医師になる人も増えてきています。

収入に関しても、動物病院を開業したら勤務医時代よりも下がってしまった、というケースもあるようです。

動物病院の開業を志している人にとって厳しい時代になりました。

それでは、なぜ以前よりも開業が難しい時代となってしまったのでしょうか?

動物病院の数は増え続けているのに犬の飼育頭数は減っている

動物病院の開業が難しくなった原因には、日本の動物病院の数と犬の飼育頭数が関係しています。

2023年の動物病院の数は12,706件でしたが、10年前の2013年の動物病院の数は11,032件でした。
10年間で約1,700件増加しています。※引用元
それとは対照的に犬の飼育頭数はどんどん減ってきています。

2023年の犬の飼育頭数は約684万頭でしたが、10年前の2013年の犬の飼育頭数は871万頭でした。

10年間で約187万頭減少しています。※引用元

以上を合わせて考えると、動物病院1件あたりに対する犬の飼育頭数は、2023年は538頭で、2013年は790頭となってしまい、少ない犬の患者数を動物病院同士で取り合うという構図ができてしまいます。

日本の人口減少や少子高齢化からも、この傾向は今後も続くことが予想されます。

動物病院を開業するメリット

動物病院を開業するのには厳しい時代にはなりましたが、それでも毎年動物病院は増え続けています。

それだけ動物病院を開業することは、獣医師にとってメリットがあるということですね。

開業するメリットを正しく理解して、今後のキャリアプランを慎重に検討しましょう。

自分の良いと思った獣医療を提供できる

勤務医の悩みには
「院長の方針に基づいて獣医療を行わなければならず、自分の思ったように治療ができない」
というものがあります。

開業をすれば自分が院長になるため、自分の方針が動物病院の方針になります。

また、経営状況次第ですが、必要な機材や備品も自分の判断で機材や備品を導入することができます。

自分のやりたかった獣医療を実現できるということですね。

経営に成功すれば収入が増える

勤務医の収入は、被雇用者のため上限がありますが、開業医に収入の上限はありません。

経営に失敗すると、全く患者様の来院がなく、勤務医時代よりも収入が下がることもありますが、患者様が多数来院する動物病院を作ることができれば、収入を上げることができます。

多店舗展開や事業売却などができれば、勤務医では実現できない収入を得ることができます。
 

動物病院を開業するのに求められるスキル

動物病院の競争が激化し、スキルを身につけていない獣医師は開業してもうまくいかないことが増えてきています。

ここでは獣医師が動物病院を開業するために身につけるべきスキルについて解説していきます。

獣医療知識、技術

当たり前のことですが、他の動物病院と差別化するためには、他の動物病院よりも良い治療をする必要があります。

また、動物病院によっては専門診療と称して、自分が得意とする診療科をアピールすることもできます。

良い治療をするため、専門診療を作るためには正しい獣医療の知識や技術を身につける必要があります。
学会やセミナーに参加したり、自分で勉強をすることも重要ですが、自分が身につけたい知識や技術について得意な動物病院に就職し、働きながら身につけるのも良いでしょう。

マーケティングスキル

良い治療をするだけでは患者様は来院しません。

動物病院の近隣の方に、その治療を認知してもらうためのマーケティングを行う必要があります。

webサイトやSNSを利用したマーケティングや、キャンペーンの行い方など幅広いマーケティングスキルを身につけると、患者様が多く来院する病院を作ることができます。
大きな動物病院にはマーケティングをする部署や業務委託のコンサルタントが入ることがあります。
独学でマーケティングを学ぶこともできますが、こういった病院で実践しながら学ぶと習得が早いです。

マネジメントスキル

動物病院を院長1人で運営することはできません。

愛玩動物看護師が診療の補助に入ったり、診察件数が増えれば獣医師を雇う必要があります。

モチベーションを維持し、能力を最大限活かしてもらうためにはスタッフのマネジメントを行う必要があります。
実際に部下を持つことができる規模の動物病院に所属することでマネジメントスキルを学ぶ機会を得られます。

開業志望の獣医師が選ぶべき就職先

ここまで解説してきたように動物病院を開業するためには様々なスキルを身につける必要があります。

開業志望の獣医師はこれらのスキルを学べる動物病院に就職すると良いでしょう。

しかし、全てのスキルをいっぺんに学べる動物病院は少ないです。

一つ一つのスキルを身につけるために転職を繰り返し、最終的に動物病院を開業するのが一般的なキャリアプランですね。

中には正社員として働く日はマーケティングスキルやマネジメントスキルを学べる場所に所属し、休日は大学病院の研修医制度を利用し獣医療の知識や技術を磨く人もいます。
なるべく早く開業したい人はこのようにスキルの習得を同時進行で行うのが良いでしょう。

いずれにしても動物病院に就職するときは自分が何を学びたいかを明確にしてから就職先を調べたり、何を学びたいかを面接時に採用担当者に伝える必要があります。

まとめ

動物病院を開業するには非常に難しい時代になりました。

しかし、悲観しきる必要はなく、今でも戦略的にスキルを身につけることで生き残る動物病院になれます。
この記事を参考に良いキャリアプランを作っていただけると幸いです。

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