2024.06.18

勤務する動物病院の選び方〜1次診療と2次診療の違いを解説〜

勤務する動物病院の選び方〜1次診療と2次診療の違いを解説〜

転職を考える際、自身の理想に適した働き方で動物と向き合いたいと思う方は多いのではないでしょうか。

多くの獣医師や愛玩動物看護師が就職先として選択する動物病院ですが、役割の違いにより1次診療施設と2次診療施設に分けられます。
病気を治すために、最先端の医療を提供することだけが動物病院の役割ではありません。

しつけや食事管理などの飼い方についてアドバイスしたり、食事管理など飼い方についてアドバイスしたり、定期検診やワクチン接種などを通じて病気を予防することも大切な役割の一つです。

また地域の小学校で講義をするなど、院外での活動に力を入れている動物病院もあります。

本記事では、勤務する動物病院を選ぶ際に役立つ、1次診療と2次診療の違いを解説します。向いている性格や求められることも紹介するので、動物病院選びに迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1次診療と2次診療の違いとは?

動物病院は、診療内容の違いにより1次診療と2次診療に分類されます。

勤務する動物病院により求められる知識や技術はもちろん、働き方も異なります。

かかりつけ病院としての1次診療

1次診療施設とは、一緒に暮らす動物についての悩みを相談したり、健診の際に受診する「かかりつけ」の動物病院です。

日常的な悩みを網羅的にサポートするため、動物病院により犬猫専門やトリミングサロンの併設などの特徴がある場合が多いでしょう。

1次診療を担う動物病院(以下1次診療動物病院)では、ワクチンやフィラリアなどの予防薬の購入、定期健診、しつけやフードの相談、避妊去勢などの簡単な手術を行っています。

また、動物の体調に異変を感じた際、はじめに診察や検査し診断する、総合診療の役割を担います。
最近では1次診療施設でも2次診療施設に劣らないほど設備が充実している動物病院や、幅広い症例に対応できる動物病院も増えてきていますね。

高度な医療を求める2次診療

2次診療施設とは、1次診療施設で診断、治療が困難な難病に対して、深い知識や技術を習得した専門医が治療、手術を行う「高度医療専門の動物病院」です。

2次診療を担う動物病院(以下2次診療動物病院)は、眼科、循環器科、整形外科など単一科目のみを診察する病院や、複数の専門科をもつ総合病院があります。

診察する症例は1次診療動物病院からの紹介が大半であり、CTやMRIなど高度な診断ができる精密機器が揃えられています。

勤務する動物病院の選び方

獣医師や愛玩動物看護師の仕事は、動物のために尽くすことに変わりはありませんが、求められる診療内容が異なるため、自身に適した動物病院を選ぶことが大切です。

勤務する動物病院選びは、得意分野や性格、理想の働き方を考慮し、検討してください。

1次診療動物病院に向いている人

1次診療動物病院で働く獣医師は、かかりつけ医として、生涯にわたり動物と飼い主の暮らしに寄り添うことになります。
そのため、1次診療動物病院での勤務は以下のような人に向いています。

一生涯安心して通える動物病院で働きたい人

1次診療動物病院は、飼い主が動物の悩みを相談したり健診のために利用するかかりつけ病院であるため、飼い主にとっては一生涯安心して通える信頼度が重要です。

1次診療動物病院では、長期間動物やその家族と関わることで、動物の成長を見守ることができます。

日常的に動物たちの様子を観察する機会がある分、1次診療動物病院で働く獣医師には体や体調の変化を見分ける洞察力や観察力が求められます。また、急患対応も多く、臨機応変に行動できる行動力や瞬発力も大切です。

1次診療動物病院で働くスタッフは、

  • シャンプーや口腔ケアの衛生管理、出産や介護などの動物の生活、飼い方の知識
  • 犬猫のみならず、飼育数の少ないエキゾチック動物に対する知識

を深めることをおすすめします。

飼い主の心に寄り添える人

1次診療では、飼い主の気持ちに寄り添える共感性も求められます。

1次診療動物病院を利用する飼い主は、動物に対する想いがさまざまであり、飼育方法や治療方針、予算、ライフスタイル、価値観なども異なります。

1次診療のスタッフには、飼い主が相談しやすい雰囲気を作るコミュニケーション能力が求められます。

また、1次診療動物病院でもスタッフ数が多い場合もあり、スタッフと良好な人間関係を築ける協調性も必要です。

スタッフ同士の協力体制が強固であるほど、診療業務は円滑に進めることができます。

これは診察による動物たちのストレスを軽減させるだけなく、診察時間の短縮、顧客満足度の向上など、動物病院や飼い主にとっても嬉しい効果をもたらします。

また緊急度の高いシーンでは、動物の命を守ることに繋がります。

2次診療動物病院に向いている人

高い専門性が求められる2次診療動物病院での勤務に向いているのは、知識や技術を常に向上し続けられる方です。

高度な専門性が求められる動物病院で働きたい人

2次診療動物病院は、1次診療では難しい診断や治療、手術を行うため、高度な知識と技術が必要です。

2次診療動物病院で働くには、長年研究している分野や熟練した経験値がある方、最先端の知識や技術の習得を目指す方が向いています。

逆に言えば、2次診療動物病院では、優れた知識や技能をもつ仲間に囲まれることになるので、スタッフ同士の情報交換や診療業務を通じて、日常から多くの刺激を得られることでしょう。

大半の2次診療動物病院は、1日の症例数の上限がある予約制を取り入れています。そのため、治療内容や手術方法を考察する時間も確保しやすい傾向があります。

向上心があり勉強熱心な人

2次診療動物病院で働くには、発展する獣医学を常に学び、研究し続ける向上心や探究心を持つことが重要です。

高度な技術習得は、座学のみならず現場での複雑な課題に対応できる症例経験が求められます。

2次診療動物病院で働くスタッフは日常の業務に加え、専門性を深めるためのセミナーや研修会へ自主的に参加する積極性が必要です。

義務感を持って勉強するのではなく、新しいことを学ぶことを楽しめる人が、2次診療動物病院での勤務に向いていると言えます。

新しい知識の習得を楽しめ、研究に没頭できる集中力がある方は、認定資格の取得を目指すと、将来的に2次診療動物病院での採用率が高まることも期待できます。

まとめ

本記事では、勤務する動物病院を選ぶ際の1次診療と2次診療の違いと診療タイプごとに向いている適性について解説しました。

1次診療と2次診療では、目的や診療内容が異なる役割があるため、自身が理想とする未来に当てはまる動物病院を選ぶことが重要です。

獣医師や愛玩動物看護師の動物への想いを形にできる動物病院の選択は、知識や技術を習得し、経験を重ねることでよりやりがいのある仕事につながります。

動物病院を決める際は、事前に実習を行える動物病院や、現役のスタッフに質問できる機会を設けている場合があるため、雰囲気や働き方を参考に検討してみてください。

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