2024.09.21 コラム記事

獣医師の年収ってどれくらい?|小動物臨床獣医師の勤務医の平均年収や年収アップの方法を解説

獣医師の年収ってどれくらい?|小動物臨床獣医師の勤務医の平均年収や年収アップの方法を解説

医療従事者の中でも、年収が低いといわれる獣医師。

獣医師は、労働条件がハードなイメージが強く、年収に見合わないと考える方もいるのではないでしょうか?

小動物臨床獣医師の勤務医の平均年収は、約350~500万円であり、一般的なサラリーマンの年収と変わらない程度といえます。しかし、小動物臨床獣医師でも高い専門性を身につけたり、働き方を選ぶことで、平均以上の年収を得られます。

本記事は、小動物臨床における勤務医の平均年収を解説します。獣医師を目指す方、将来のためにキャリアプランを模索している獣医師は、ぜひ参考にしてみてください。

小動物臨床獣医師の勤務医の平均年収は低い?

獣医師の平均年収は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、約400~700万円です。しかし、これは獣医師全体のデータであり、小動物臨床獣医師の勤務医の平均年収の約350~500万円と比べると、やや高い傾向にあります。

ここでは、獣医師全体の年齢や男女別の平均年収、小動物臨床獣医師の勤務医の求人内容から見た推定平均年収を紹介します。

獣医師全体の年齢、男女別の平均年収

賃金構造基本統計調査による、獣医師全体の平均年収は次の表のとおりです。

平均年収年間賞与
その他特別給与額
平均年収年間賞与
その他特別給与額
20~24歳336万324万11万
25~29歳384万36万360万60万
30~34歳444万91万384万89万
35~39歳564万118万432万72万
40~44歳540万129万588万136万
45~49歳696万143万492万86万
50~54歳864万191万504万131万
55~59歳768万185万336万112万
60~64歳420万96万336万96万
65~69歳792万
70歳~480万

※平均年収=決まって支給する現金給与額(月額)×12月で算出

20代の獣医師の年収は、一般的な大卒の初任給と変わりません。

30代以降の獣医師の平均年収は、サラリーマンの平均年収である400万円を超えはじめます。

年齢別平均年収を比較すると、40~50代が最も年収が高く、稼げる年齢です。

60~70代以降の獣医師も、開業医として勤務する場合や、定年退職の制度がない会社の場合は、リタイアせず現役で活躍でき、収入を得られます。

また、平均年収に男女差があるのは、臨床獣医師の業務内容が影響しています。動物病院では、入院患者の受け入れや、救急対応が必要なケースもあります。

休日や深夜問わず治療をおこなう場合もあるため、出産や子育てがある女性には働きづらいのが現状です。

小動物臨床獣医師の勤務医の平均年収は?

小動物臨床獣医師の勤務医の平均年収は、一般的に約350~500万円程度と言われています。
獣医師全体のデータと比べたら小動物臨床獣医師の勤務医の収入は少ないようですね。

参考までに、動物病院の獣医師の求人の例をいくつかお示しします。

月額
A動物病院未経験者:24万円~臨床経験5年以上:28万円~
B動物病院基本給28万円~60万円別途手当あり
C動物病院月給 30万円~経験年数や資格により変動あり

小動物臨床獣医師の勤務医の年収は、経験年数による待遇の違いがあります。

新卒者や臨床未経験の獣医師は、一般的なサラリーマンの初任給と変わりません。

勤務する動物病院により、年収に差が生まれるため、賞与や手当、その他待遇も比較する必要があります。

小動物臨床獣医師の勤務医の年収アップの方法とは?

小動物臨床獣医師の勤務医が年収アップを目指すには、次の点に着目しましょう。

  • 経験を積み勤続年数を増やすこと
  • 管理職になること
  • 専門知識を増やすこと
  • 自身の能力を活かせる動物病院に転職すること

それぞれ解説するので、参考にしてみてください。

小動物臨床獣医師として経験を積み、勤続年数を増やす

先述の獣医師全体の年齢別平均年収からも読み取れる通り、獣医師は40~50代で最も高い年収をもらうことができます。

40~50代の獣医師は、長期間にわたる勤務で、動物病院を利用する飼い主から信頼されやすく、指名数や診察件数が増えます。売り上げに貢献ができることで、支払われる給与も増加します。

管理職になる

管理職に昇格するのも年収アップにつながります。管理職の年収が高くなるのは、動物病院の生産性を高める責任が伴うためです。

管理職は、臨床獣医師の能力だけではなく、マネジメントスキルや、動物病院の経営に関する知識も求められます。

専門性を身につける

勤務医は小動物臨床獣医師としての専門性を身につけることが、年収をあげることにつながります。

小動物臨床獣医師は、幅広い知識で多くの種類の動物や疾患を診断する総合臨床獣医師と、限られた疾患に特化した高度医療を提供する専科獣医師に分けられます。

年収アップには、特定の専門知識習得を目指し、認定資格の取得がおすすめです。

専門性が身に付くと、セミナーの依頼や他の動物病院から呼ばれる機会もあり、獣医師としての需要が高まります。さらに、論文や学会での発表で功績を認めてもらえれば、唯一無二の小動物臨床獣医師になれるでしょう。


獣医師の認定医については、別の記事でも詳しく紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
獣医師の認定医とは?|なるために必要なことやなるメリットを解説

自身の能力を活かせる動物病院に転職する

勤務医が仮に専門性や能力を身につけることができたとしても、勤めている動物病院でその専門性を活かすことができない場合があります。

例えば、

  • 勤めている動物病院の診察が皮膚疾患の症例ばかりで、循環器科の専門性を活かせない。
  • マネジメントスキルを身につけたが、管理職の人員が飽和しているため昇格できない。

などですね。

上記のような場合は、自身の能力を活かせる動物病院に転職するのも一つの方法です。
一般的には、その動物病院が欲している能力を持った人材の給与は高い傾向にあります。
自身の能力を見つめ直し、転職先を探してみましょう。

ただし、給与の高さのみで職場を選ばないことも重要です。

給与が高く設定されている場合は、給与相応のスキルや経験が求められます。
中には、長時間労働や過重労働を強いられたり、職場の人間関係が適切でなく離職率が高い病院なども存在します。

給与の高さだけでなく、自身の能力を活かしながら、職場環境・労働環境が適切かということを見極めることも大切です。
新たなスキル向上が見込める職場環境であるかも、確認してみましょう。

小動物臨床獣医師がさらに高い収入を目指すなら「開業医」に

小動物臨床獣医師としてさらに高い収入を目指すなら、開業医になる選択肢もあります。

開業医の年収

農林水産省が発表するデータによると、開業した小動物臨床獣医師の開業5年後の平均年収は、1,000万円未満が42%、1,000~1,999万円が32%です。

比較的高い割合で1,000万円超えの年収を得ている開業獣医師が多く、軌道に乗れば平均以上の年収が期待できます。

開業には設備投資や初期投資の費用が必要です。また、マーケティングや経営など、獣医療とは異なる知識も求められます。

また、開業後の利益は動物病院の運用資金でもあるため、すべての利益が自分の収入にならない点は理解しておきましょう。

まとめ

本記事では、小動物臨床獣医師の勤務医の平均年収を解説しました。

年収が低いイメージがある獣医師ですが、専門知識の習得や働き方の選択で平均以上の年収を得られます。

年収を高めることがすべてではありませんが、高い収入を得られることは、仕事のモチベーションややりがいにも繋がります。
小動物臨床獣医師としての理想像に近づくために、ご自身のキャリアプランを考えてみてください。

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