2024.10.21 コラム記事

【動物病院の残業代】基礎知識|求人票のチェックポイントも解説

【動物病院の残業代】基礎知識|求人票のチェックポイントも解説

動物病院で働く獣医師や看護師にとって、切っても切り離せない課題として「残業問題」があります。動物たちの命を扱う仕事だからこそ、イレギュラーな残業は時に発生してしまうものかもしれません。

残業しても残業代が支払われない。そんな話を耳にしたことはありませんか?しかし、それは本当に残業代が発生する「残業」なのでしょうか。自分自身のためにも、獣医師、看護スタッフの皆さんも残業代の計算方法や労働時間制度について正しく理解しておきましょう。

本記事では、残業代にまつわる基礎知識から、求人票を確認するポイントまで詳しく解説します。

ぜひ最後までお読みいただき、自身の現状と照らし合わせたり、今後の転職活動の参考にしてください。

動物病院の残業代

動物病院では緊急手術や予定外の診療など、予測不可能な事態が頻繁に発生します。その日の診察状況や患者の容態によって、どうしても残業が発生しやすい職場環境と言えるでしょう。

こちらでは基本的な動物病院の残業代について解説していきます。

残業の定義

残業とは、法定労働時間を超えて働くことを指します。法定労働時間は1日8時間、週40時間と定められています。

動物病院の場合は、季節や曜日により業務量の変動が大きいため、1ヶ月単位の変形労働時間制を導入しているケースが多い傾向です。

変形労働時間制とは月単位、または年単位で労働時間を調整する勤務体系です。変形労働時間制を採用している動物病院は、1日単位の法定労働時間を超えても残業扱いになりません。1ヶ月や1年単位の法定労働時間を超えて働いた時間が残業扱いになります。

残業代の計算方法

残業代は、通常の時間給に割増率を掛けて計算します。時間給は「月給÷1ヶ月の平均所定労働時間」で求められます。

割増率は以下の通りです。

法定外残業(1日8時間を超えた場合):25%以上

深夜残業(22時から翌5時まで):50%以上

休日労働:35%以上

それでは、具体的な計算例を見てみましょう。

※時給2,500円の獣医師が3時間の法定外残業と2時間の深夜残業をした場合

法定外残業:2,500円 × 1.25 × 3時間 = 9,375円

深夜残業:2,500円 × 1.50 × 2時間 = 7,500円

合計残業代:16,875円

動物病院では夜間診療を実施している病院も多いため、深夜残業の割増率は注意が必要なポイントです。

動物病院の固定残業代

固定残業代(みなし残業代)とは、あらかじめ一定時間の残業を想定し、その分の残業代を基本給に上乗せして支給する制度です。例えば「月30時間分の残業代を固定で支給する」といった具合です。動物病院では、急患対応や長引く手術など予測不可能な残業が発生しやすいため、この制度を採用している病院も多くあります。

固定残業代について「月30時間の固定残業が付いているから、その時間分残業をしなければいけない」と思っている方も多いでしょう。しかし、それは間違いです。実際の残業時間が30時間より少なくても、固定残業代は支払われます。

固定残業代のメリット・デメリット

固定残業代のメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット

  • 毎月の給与が安定する
  • 固定残業分よりも少ない残業時間でも残業代が出る

デメリット

  • 基本給が低い傾向がある(賞与に影響が出る可能性がある)
  • 一定時間残業が発生する可能性がある

固定残業代制度を採用している動物病院で働く場合、実際の残業時間と固定残業時間を比較し、超過分がある場合は適切に支払われているか確認するようにしましょう。例えば、月30時間の固定残業代が設定されており、実際の残業が40時間だった場合、超過した10時間分の残業代が別途支払われるかどうか、確認する必要があります。

求人票のチェックポイントについて

動物病院の求人票を見る際は、残業代に関する以下のポイントをしっかりチェックしましょう。

残業代についての記載内容

求人票に記載されている給与が基本給なのか、固定残業代を含んだ金額なのかを確認します。残業代について、何も記載されていない求人票を見ることがありますよね。その場合は、事前に残業代について確認しておくことをおすすめします。

固定残業時間数

固定残業代の記載がある場合は、月何時間分の残業代が固定残業代に含まれているのかを確認しましょう。少し聞きづらいポイントですが、固定残業時間数が実際の残業時間と大きくかけ離れていないかどうかまで確認できると安心できます。

時間外労働の上限

月45時間、年360時間という法定の上限を遵守しているか確認します。必ずではありませんが、時間外労働45時間と求人票に記載のある病院は、残業が比較的多い病院であると判断して良いでしょう。

まとめ

動物病院への転職を考えている方は、給与や福利厚生だけでなく、労働時間や残業代についても事前にしっかりと確認することが大切です。この記事では、動物病院の残業代に関する基本的な知識や、求人票を見る際のポイントを解説しました。

残業代が正しく支払われているか、労働時間はどう管理されているのか、疑問に思う方は多いはずです。この記事を参考に、自分の労働条件についてしっかりと理解し、働きやすい職場選びに役立ててください。

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