【つなぐワークスペシャル対談】なかまる動物病院 中丸院長&梶賀副院長
地域密着の「患者ファースト」を貫きとおした30年で、変化したものと変化していないもの
開業から今に至るまで、変わったことと、変わっていないことを教えてください
中丸:やっぱり一次病院として大事にしたいのは、飼い主様とのコミュニケーション。当たり前だけど、この信念はずっと変わらない。当院は 「患者ファースト」を掲げているし、この部分はずっと変わっていないと思うけど、梶賀先生から見たらどう思う?
梶賀:私から見てもその部分は変わっていないと思いますね。私は2009年に新卒入社したのですが、入社前には10軒以上の動物病院の実習に行き、院長やスタッフの飼い主様や動物等への熱意は他と違ったことを今もはっきり覚えています。「患者ファースト」だからこそ自分は勉強し続けないといけないし、チームとしても責任を持ってきちんと医療を提供しないとな、という感覚は強いように思います。その結果、患者様がリターンすることも多いと思います。
中丸:お互いに努力とアップデートを重ねているから、診断力が上がり、また、手術できる種類は年々上がっているよね。それと、もちろん患者のためにが一番なんだけど、働く環境という意味ではこの30年は大きく変わったよね。梶賀先生が入社してくれてからもそうだけど、労働環境で動物病院が変わったことはすごく良いことだよね。昔みたいに院長がなんでもかんでもこなす、というのは正直ちょっと厳しいのかも。あと昔は院長こそが絶対、みたいな社会的な風潮もあったけど、その部分も変わってきているよね。そういう意味では、院長自身が積極的に変わり続けないと取り残されるなって。あれ、自分、もしかして取り残されてる...?(笑)
梶賀:院長は...セーフだと思います(笑)。私自身が自分でやれることの幅が広がってきたのもあると思いますが、のびのびやらせてもらっていると思いますね。副院長というポジションを任せていただいてるので、「患者ファースト」を貫きとおすと同時に、院長とは年が離れて女性である私だからこそ、なかまる動物病院を少しずつアップデートさせなきゃな、という思いもあります。
中丸:それは頼もしい!確かに今までは、自分1人の思いで突っ走ってきた感があるから、そこにバージョンアップさせていきたい。30年もやっているから、飼い主さんの動物も2代目や3代目みたいな方も少なくないので、大事なことは変えずに、だけど外向きには予約方法や会計の仕組み(IT化)、内向きにはマネージメントの仕組みなどは積極的に変えていきたいね。
普段の働き方を教えてください
梶賀:私は、朝出勤するとまずは入院の子に挨拶をしつつ元気や食欲、様子が変わっていないかなどチェックします。ミーティング後は午前の 診察。基本的には予約制なのである程度予習をしておきます。お昼休憩のあとは検査や手術をして午後診察。最後に診察後に片付けという感じでしょうか。妊娠中やお子さんがいらっしゃる場合には時短もありますが、今ではこういうのは当たり前になってきていますね。
中丸:当院では多様性のある働き方も推進しています。僕の場合も働き方はそんなに変わりませんが、病院に寝泊まりすることが多いかな。病院の割と近くに家はあるのですが、出勤や入院の子の面倒を見ることを考えると、出勤時間ゼロの病院生活が最強だということに気がついてしまって(笑)。スタッフが気を使わないように考えながら、病院の2階の居住スペースで夜を過ごすことが多いですかね。最近は入社する方によって「バリバリ働きたい!」という方もいらっしゃれば「プライベートを大事にしながら仕事もしたい」という方もいて、価値観としてどちらも認められるべきものだと思っています。個人の意向に沿った働き方ができるように様々な工夫をしているところです。
梶賀:働くにあたってはどういう地域なのかということも結構大事だと思いますが、このあたりは最寄り駅からは少し離れている点以外は条件が良いと思います。近くにスーパーやドラッグストア、パン屋、飲食店などがあるので、生活に必要なものは揃います。実習に行くにあたっては駅近に越したことはないと思いますが、こういう「駅から少し離れた場所」だと家賃も結構下がるので、その点も良いですよね。
中丸:バス停は近くにあるから、バス停で駅まで行ってしまえば問題ないしね。車はなくても生活できるエリアだけど、車を買って自由に出かけても良いし。適度に田舎なところが良い!
梶賀:色々言いましたが私はこの病院で働いていて毎日充実しています。主体的に関わらせて頂いているので患者様、動物のために頑張って結果が出るとそれが嬉しくてまた頑張れます。
読者に向けてメッセージをお願いします
梶賀:私は元々コミュニケーションはそんなに得意な方ではありませんでしたが、部活での立場やいくつかの飲食店でアルバイトをして、対話や接客について苦手意識はなくなりました。特に獣医学生の皆さんは、動物の病気を治すという仕事ですが、そのためには飼い主様と会話した上での理解が不可欠です。動物のちょっとした変化に気づいたり、飼い主様の思いを感じたり、上手にコミュニケーションが取れるよう、今のうちに友達や先生との会話、接客業などのアルバイトを経験することはとても有意義だと思います。
中丸:私からは「外に出よう」「体を動かそう」の2点のメッセージをお伝えします。梶賀先生の考えにも少し被りますが、動物病院業界というのは狭い限られた世界ですので、動物病院業界以外の方々とも交流を持って視野の広さを持って欲しい。体を動かそうというのは、運動することで精神的なストレスは軽減されるので、抱え込まないようにリフレッシュをしようという意味です。特に社会人になると忙しさにかまけて自分の心身に目が向かなくなることもあると思いますが、アルコールに頼るのではなく健康的にリフレッシュをして欲しい。私はジムでトレーニングを定期的に行っていますが、そこまでやらないにしても、たまにランニングやウォーキングをする、というのは自身の健康にとって大きなプラスになると思います。
梶賀:学生生活でも勤務生活でも同じですが、ストレスとどう付き合うかは一生のテーマです。無理する期間も多少はあるべきですが、自身が健康的に過ごせるルーティーンを持っている人は成長します。
中丸:皆さんの成長を陰ながら応援しています!
Profile
なかまる動物病院 中丸 大輔先生(院長/獣医師)
北里大学出身。趣味はスキューバダイビング、乗馬、ゴルフ。
なかまる動物病院 梶賀 綾先生(副院長/獣医師)
北里大学出身。趣味は読書。