獣医師の皮膚科の認定医になるためのロードマップ|就職先選びや働き方を解説
「獣医師で獣医皮膚科認定医を目指しているが何をしたらいいかわからない」
「獣医皮膚科学会に書いてある認定条件が複雑すぎてわからない」
「獣医皮膚科認定医を目指すにはどのような動物病院に所属すればよいかわからない」
今回はこのようなことを思われている方に獣医皮膚科認定医になるための条件や、どのようなキャリアを選ぶべきかを解説していきます。
動物病院における皮膚科診療の割合は多く、獣医皮膚科認定医を取得するメリットは大いにあります。
ぜひ最後までお読みいただき、ご自身のキャリアの参考にしてください。
獣医皮膚科認定医とは
獣医皮膚科認定医とは日本獣医皮膚科学会によって作られた制度です。認定医制度は日本における獣医皮膚科学の向上を目的に設立されました。2024年6月の時点で、日本全国に116人の獣医皮膚科認定医がいます。
小動物臨床の獣医師は16,541人(2022年時点)と言われている中で、認定医は希少な人財と言えます。
獣医皮膚科認定医になると
- 皮膚を専門に診察するスペシャリストとして認められる
- 難治性の皮膚科症例に携わることができる
- 講演、執筆など仕事の幅が増える
- 転職に有利になる
など様々なメリットがあるため、皮膚疾患に興味がある獣医師は認定医を目指すことが多いです。
獣医皮膚科認定医になるための条件
ここからは獣医皮膚科認定医になるための条件について解説していきます。
獣医皮膚科認定医になるためには認定試験の受験資格を得ることと認定試験に合格することが必要です。(※引用元)
認定試験の受験資格
認定試験の受験資格は以下の通りです。
- 獣医師免許を有すること
- 申請期限の日を含めて、3年以上継続して日本獣医皮膚科学会の正会員であること
- 認定医講習会研修18科目を6年以内に履修すること
- 日本獣医皮膚科学会学術大会に6年以内に3回以上参加すること
- 日本獣医皮膚科学会が指定する学術事業(生涯教育セミナー、ひふゼミ)に6年以内に3回以上参加すること
- 海外獣医皮膚科学術会議に6年以内に1回以上参加すること
- 過去6年以内に獣医皮膚科に関する筆頭学会発表が1報以上、さらに筆頭論文発表が1編以上あること
- 3年以上の獣医一般診療の臨床経験を有し、過去3年間に主治医として皮膚科600症例(初診100症例含む)の診療実績を有すること
このように獣医皮膚科認定医の受験資格を得るためには、様々な条件をクリアする必要があります。
講習会の受講や学会発表など多くの課題があるので、計画的に準備をしていくことが重要ですね。
また主治医として多くの症例を経験する必要もあるので、皮膚科の症例が集まる病院選びも大切です。
認定医の認定方法
認定医の認定は書類審査と認定医試験によって行われます。
認定医の認定申請に必要な書類は以下の通りです。
- 認定医試験受験申請書
- 獣医師免許の写し
- 認定医講習会受講一覧表
- 申請に必要な学術事業の参加証
- 学会・論文発表等業績の写し
- 診療実績記録
また認定医試験は筆記試験と口頭試問により、年1回行われます。
獣医皮膚科認定医になるためのロードマップ
ここまで解説したように獣医皮膚科認定医になるためには、実に多くの条件を満たしたのちに、試験に合格する必要があります。獣医皮膚科認定医を目指すには、体系的な学習と臨床経験の積み重ねが不可欠です。
ここでは獣医皮膚科認定医になるために、どのようなキャリアを選ぶべきかを解説していきます。
獣医皮膚科認定医が所属している動物病院で働く
「受験資格を得るために学会発表、論文執筆をする」「皮膚科症例を主治医として数多く診察する」これらを自分一人で行うのは困難です。
獣医皮膚科認定医がいる動物病院で働くことで多くの皮膚科症例に触れ、多様な症例に対応するスキルを効率的に習得することができます。また学会発表などに向けて、身近に指導を仰げる獣医師がいることも大きなメリットになります。指導を受けるには人間関係も重要になるので、事前の動物病院見学で実際にコミュニケーションを取っておくことも大切ですね。
インターンシップや研修プログラムに参加する
一般的な動物病院で働いている場合でも、大学付属動物病院や皮膚科診療に力を入れている動物病院でのインターンシップや研修プログラムに参加することもおすすめです。指導医の下で実際の症例に携わることで、診断や治療の技術を磨くことができます。また難治性の皮膚科症例も経験できるので、より専門性を高められます。
大学院への進学
大学院へ進学することで皮膚科に関する最新の研究を行い、専門性を高めることができます。大学院では論文執筆や学会発表の指導を受けやすいというメリットもあります。しかし、主治医として症例を経験しにくいので、一般の動物病院で勤務医として働きながら大学院に通うことも選択肢の一つですね。
大学付属動物病院で働く
大学付属動物病院では複数の獣医皮膚科認定医が所属していたり、獣医皮膚科認定医を目指す獣医師が集まりやすいので認定医取得に向けて多くの情報を得ることができます。そして、困ったときに相談できる仲間が作りやすい環境を作れます。一次診療では対応が難しい皮膚科症例に携わる機会が増えることもメリットです。
自己研鑽を怠らない
獣医皮膚科認定医の受験資格を得るために様々な課題をクリアする必要がありますが、最終的には筆記試験と口頭試問に合格しなければならないためです。
皮膚科を含め獣医学は日進月歩です。学会やセミナーに参加し、最新の知識や技術を学びましょう。オンラインセミナーなども活用することで時間効率を高めることもできます。
まとめ
獣医皮膚科認定医を目指す道のりは決して平坦ではありません。しかし、認定医資格を取得することには多くのメリットがあります。体系的な学習と豊富な臨床経験を積み重ね、常に高い目標を持って研鑽を積むことで、必ずや優れた獣医皮膚科認定医として活躍できます。最後まで諦めず、努力していきましょう。